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渡瀬恒彦さん

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松方さんが亡くなった時、どうしてもこの日の事も過ってしまった。
それが覆らず、来てはいけない日が やはり来てしまいました。
渡瀬恒彦さんの訃報。


10年間 毎年 3ヶ月間 京都でお世話になっていた。
これがどれほど濃密で掛け替えない時間だったか。

渡瀬さんは「仕事の虫」というより、「仕事の鬼」だった。
現場で私語は一切しない、ピリピリとした緊張感で、常にカメラワーク、役者の演技を見つめ、次のプランを考え続けていた。
いい加減に仕事をしている人は、時に怒鳴り飛ばすほど厳しかった。

若い頃は煩いと怒られるほど現場で喋りまくっていた僕が、現場で私語を慎み懸命に集中するようになったのも渡瀬さんのおかげだ。

役者としての僕のことは分からないけど、渡瀬さんは 劇作家、演出家としての僕を評価して下さっていた。
僕が書き下ろし、演出するJOE Companyの作品は必ずと言っていいほど足を運んで頂いた。
忙しくて来れない時は「脚本を読ませてくれ」と仰りお渡しした事も一度ではなかった。

芝居を観に来ては、終演後に近所の居酒屋で呑むのが恒例で、一度だけそのまま帰られたことがあり、後で聞いたら「芝居がつまらないからだ」とハッキリ言って下さった。

呑んだ時、褒めることは滅多にないけど、いつも嬉しそうにダメを出して下さる。
それでも一作だけ褒めて下さった作品があり、そのことでこの作品に自信を持ち、今後新たな展開で広げていくつもりだ。

「良太とジョーの芝居だけは、毎回観ようと思ってる」と言って下さった時は、本当に嬉しかった。

良太というのは、中西良太さん。 僕と同じで、役者をしながら脚本を書いている。
その良太さんを渡瀬さんは大変に懇意にされていて、 呑むと必ず僕と比較していた。
作家として真逆だそうだ。
僕の描く世界は、外へ外へと広がっていくけど、良太さんは内へ内へと向かう、と。

だから渡瀬さんの口癖は、「良太と丈で、一本脚本を書かせたいんだ」。
真逆の世界を創る 二人の作家が紡ぐ共作を観たかったようだ。

先日僕が出演した「キスより素敵な手を繋ごう」の舞台に、初日から二日遅れで渡瀬さんからお花が届いた。

今思うと恐らく 懸命に病室で闘病されていた時期でしょう。

芝居の案内を口実に、僕は渡瀬さんを励ましたくて、お便りもしたためた。
「おみやさん」の新シリーズが2時間ドラマで始まり、僕は 役が変わり鑑識になった。
役創りで冒険して、僕は個人的に好きなキャラクターになり、また あの役がやりたいので ぜひドラマをやってくださいと励ますつもりでお願いした。

その新しい「おみやさん」の二作目に、僕は舞台が重なり出演が叶わなかったことが、今思うと お別れが出来なかった遺族のような気持ちで、悔やまれている。

先日舞台で頂いたお花は、苦しい闘病のなか、それでも僕を思い出して頂き 贈って下さったお花。

「ジョー、頑張れよ」と言ってくれているようで、僕は渡瀬さんからの遺言だと思っている。

また一人、大切な恩師がこの世を去った。

父を亡くした時と同じような衝撃と深い哀しみを近年、今井雅之さんの訃報で蘇り、
松方弘樹さん、そして、今度は渡瀬恒彦さんで 再び思いが去来する。

哀しみが止まらない。

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