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美学

舞台演出をする際に、僕はやはり始まりと、それ以上に ラストシーンにこだわります。
物語を決着させて、どう幕を降ろすか。

その引き際は、芝居に限らず、人生や生活、仕事上でも言えることでしょう。

最近のイチロー選手の報道を見て、色々と思うことがありました。

実質戦力外ではあるけれど、球団の粋な計らいで、フロント入りしているにも関わらず、現役の可能性を残し、チームに帯同して練習を続けることが出来る環境を与えて貰ったのです。

チームで2人目の殿堂入り選手を作りたいのと、来年のマリナーズの開幕戦が東京ドームで行うことが決まり、お客様の動員にはイチロー選手の名前は欠かせないという思惑もあると思うけど、きっとそれ以上に、チームやメジャー球界への貢献度の大きさから、本人の意思を尊重しての配慮であることは間違いはないと思います。

その東京ドームでのマリナーズの試合がイチロー選手の引退試合なら、母国で幕を下ろす、最も美しい引き際になるに違いありません。

だけど、きっと彼はそれを受け入れないような気がします。
公言した50歳まで、現役にこだわり続けるでしょう。

サッカー界で言えば、カズ選手もそうです。
本当に50まで現役をし続け、未だにW杯の出場を目標に掲げています。

でも、プレイを見てしまうと、カズ選手もイチロー選手も往年のキレや動きには及ばず、もの悲しく思う瞬間があるのも事実です。

例えば、プロレスのジャイアント馬場さんの試合なら、楽しいプロレスを割り切って観れるでしょう。
これが、アントニオ猪木さんのストロングスタイルで、理想のファイトが出来なければ、ファンは納得しません。

だからこそ、アントニオ猪木というレスラーは引退を決めたのです。

実は、物悲しくなった、そんな思いが去来した瞬間が、演劇界でもございました。

伝説の劇作家の作品で、色々な方が その戯曲を上演しております。
70年代の全盛の頃に出演されていた役者が、近年、同じ役で出演して話題になりました。

ただ、恐らく当時はハイテンションで淀みなくマシンガンのように口に出来た台詞も、覚束ない瞬間が何度かあり、致し方がないことだけど、すこし物悲しい思いが過ぎってしまったのです。

役者には引退はなく、生涯続けることが出来ます。

ただ、自身が続けたくとも、様々な理由で継続出来ない人達も沢山いらっしゃいます。
僕でさえ、やめようかと考えたことが1度ではありません。

それでも、後悔する人生だけは避けたくて、なんとかしようと足掻き続ける毎日。

イチロー選手やカズ選手も、引き際の美学よりも、足掻き続けることの美学を選んだ2人です。

例え 全盛期よりも劣るパフォーマンスでも、自分を戦力として求められなくなったとしても、情けない姿を見せたとしても、
いつまでも夢や目標を口にして、こだわり、足掻き続ける。

僕は、そんな生き方に賛同します。

きっと、淀みなく口に出来た台詞が覚束なくなってきても、作品のアイデアを絞り出せなくなっても、僕の胸中にも間違いなく その思いが過るでしょう。

人が何と言おうと、自分は自分。 人生に悔いだけは残しちゃいけない。

イチロー選手やカズ選手のプレイに老いを感じても、
アントニオ猪木さんがリングに戻ってきても、

また、伝説の俳優が舞台に立ち続けてもー、

僕は、心から観続けていたいと思うのです。

伝説をいつまでも、この目に焼き付けていたいー。
それを逃すと、きっとそれも後悔しそうで。

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